院長対談シリーズ
対談シリーズ 特別講義1 医学博士 田中康弘先生

それはお風呂です。
○みなさんは、恐怖のどん底から助かったとき、何をしたいですか?
世界中でも日本人だけが答える共通の答えというのがあります。
なんだと思いますか?
生まれてからお風呂にすぐ入れられたことがどれだけ影響しているかっていうことですね。物語の中でも母親が産気づくと「そら! 湯を沸かせ!」ということになります。つまり日本人の赤ちゃんは生まれてから毎日お風呂にいれてもらえたのですね。
そんな国他にないんですよ。つまりね、羊水の中にいた快感を日本人だけが毎日毎日味わってるわけですね。だから日本人はピンチの後助かってほっとして、お風呂の中でもう一回ほっとするのですね。
生まれてからお風呂にすぐ入れられたことがどれだけ影響しているかっていうことですね。
もちろん生まれたてで毎日お風呂に入れられたことなんて覚えてない。それでも影響はあるのです。生まれてから人生を終えるまで数回しかお風呂に入らない民族も居ます。そういう人たちの口から「ほっとしてお風呂に入りたい」とい台詞は出てきません。
初期ほど大事、ということがこれでわかると思います。
物凄く色濃く出てくるのです。昔は三つ子の魂百までといいまして、3歳までの経験が人生に大きく影響すると、経験的に知っていたのですね。でも、最初の3 年より3ヶ月、それよりも1ヶ月、それよりも生まれた直後。早ければ早いほど影響は濃いわけです。
先ほどもちょっと言いましたように、初期ほど大切。
胎児のときから大事なのです。
おなかの中に居るときに、両親がどんな生活をしていたかというのが大事です。
受精卵が胎芽になったとき、だんだん胎児になっていく。最初はえらがでてくるんですね。それがあごになる。進化の過程を最初の数週間でなぞるように成長します。妊娠13週目で人間のようになります。最初は人間も魚も牛もわかりません。だんだんそれぞれの生き物の特徴が出てきます。
猿は16週目でも人間とほぼかわりません。なぜって98%近くの遺伝子が一緒なのです。違いは、親指の発達の有無くらいで、手の発達がいかに脳の発達に影響するかということです。
おなかの中でも人間の赤ちゃんはへその緒をくわえてみたり、笑ったり、あくびしたり、いろいろなことをします。
進化の過程で、人類は二本足で動くようになりました。立ち上がって日本の脚で歩きますと、前足が手として使えるようになります。その結果知能が発達し、結果頭が大きくなっちゃったのですね。
それで人類は難産になりました。
人間も豊かな食物に囲まれていたときは木の上に居てよかったんですが、あるとき地形が変動して南北に高い山脈ができたんだそうですね。これはアフリカの話のようですが。西から雨雲が来て、森林を育てて食料が豊富だったのですが今度は山脈の東側は雨がこなくなった。森林がサバンナになった。サバンナは食料が少ないですね。だから人間も木から降りて獲物を追いかけなくてはならなくなった。
そういう個体が生き残るようになった。
瞬発力を使って獲物を追いかけても逃げられるんですね。だからグループで発達した知能を使って作戦を練った。ゆっくり追跡して弱ったところをしとめるほうが生き残る確率が高くなった。二本足でたって遠くを見る目を持って、いわゆる狩猟生活が始まったわけです。こうして集団で獲物を追跡して生きていくという生活から今の人類が誕生したんですね。それぞれの生き物も、同様にして進化しているわけです。
そして、二本足で立つことで骨盤にしわ寄せが行った。出産に与えた影響は子宮の倒立です。びんの口のようになっている子宮口が下を向いた。時期を迎えると口が広がって赤ちゃんが出てきます。
牛や馬のあかちゃんは成獣と同じ機能を備えて生まれてきます。うまれてすぐ立ってお母さんのおっぱいを吸いに行きます。人間の赤ちゃんはあるいておっぱいを吸いにはきませんね。しかたないから寝ている赤ちゃんを傍に抱き寄せておっぱいを与えました。
ほっとけば死んじゃうんです。物凄い未熟児で生まれて来ると思いませんか?


